本部(東京)/国際交流/横浜国大部会


2016年日産自動車追浜工場見学(2016.1.15)

横浜国大部会 行事世話人
縄岡 修二(三井物産OB)

2016年1月15日に実施した日産自動車追浜工場見学の概要を下記の通り報告いたします。

今回の参加者は当部会員14名、留学生22名合計36名でした。留学生の国籍は、マレーシア、インドネシア、中国、台湾を中心に12カ国と多岐にわたりました。

今回の特徴としては、部会員のパートナー留学生(10名)のほかに、横国大の長谷川准教授を窓口にして一般留学生にも門戸を広げて募集したこと、また事務局経由で東大(5名)早大(1名)の参加があったことが挙げられます。

見学人数が20名を超えているため2組に分けました。昨年は通訳の関係で日本語組と英語組に分けて見学を行いましたが、人数のアンバランスが生じました。そのため今年はそれぞれに英語の通訳をつけました。

プログラム内容

09:30 同社活動概要のプレゼンテイション
10:00〜11:00 バスによる輸出専用埠頭他の施設見学(約20分)
徒歩による工場内生産ラインの見学(約40分)
11:00 生産方式説明のビデオ及び見学後Q&A

※ 2組に分かれたので、施設見学と生産ライン見学の順番は組によって逆になりました。

港湾施設見学では、残念ながら輸出専用埠頭に自動車専用船が入港しておらず、積み込みの様子を見ることができませんでした。5万トンの専用船の積載能力は5,000台で、主に北米に向けて輸出されています。

今回は国内輸送用の埠頭にも自動車運搬船が入港しておらず、残念でした。そのほか部品倉庫などもバスの中から見学した後、徒歩で工場内の組立ラインの見学を行いました。

工場内で見学したのは「トリム(組立)ライン」及び最終検査工程です。「トリムライン」では 車体の溶接組立及び塗装が完了した後、シート、カーペット、ガラス、バンパー等3,000点の車の内外装部品の取り付けを行う行程です。

今回の見学は塗装後ドアーを一旦外す行程から始まりました。ドアーを外す目的は、車内の部品取り付け作業がやり易いこと及びドアーに傷を付けないようにするためです。このラインでは、部品の取り付け位置・作業員の姿勢に合わせ、車体の高さを調節することができる専用の台車を使うことで、またコックピットモジュール等重い部品の取り付けには「らくらくハンド」と呼ばれる器具を使う等、生産効率だけでなく作業員の負担を軽くする工夫を見ることができました。さらに組立てラインの床は木製になっており、作業員の腰・膝へ の負担を緩和する目的があります。これはまさに人間工学の面では先駆者であるルノーとの提携の賜物のひとつです。生産ラインに流されている車は「多車種同時生産方式」を採用しており、注文・納期順に違った車種(例えばガソリン自動車“ジューク”の次は電気自動車の“リーフ”等)、同じ車種でも輸出向け・国内向けなど異なった仕様の車が同じ組み立てラインで流れてくるのは非常に興味深いものでした。

作業員の近くにはそれぞれの車の仕様に合った部品が無人搬送車(AGV)で,組み立てラインと同じスピードで運ばれてきており、必要な器具と共にすぐ手が届く位置に置かれています。

「同期生産」方式に基づき、顧客の注文内容は日産本体だけでなく同時に外部の部品供給協力に通知されており、生産計画に応じ、4日前に部品供給が行われています。コックピットモジュールは見学したトリムラインのすぐ横のラインで部品会社により組立てられており、取付けのタイミングに合わせ、必要な仕様のものが自動的に作業員の手元に搬送されてくるよう設計されています。

留学生は、それぞれの行程の説明に、とくに組立ラインにおける様々な工夫に熱心に耳を傾けていました。

工場内の見学通路は狭く、通路のすぐ横を無人搬送車(AGV)が頻繁に行き来していましたが、留学生も注意事項をよく守り、例年通り事故も無く見学を終了することができました。見学時間が超過したにもかかわらず、日産の方には快く留学生の質問に答えて頂きました。

昨年までの行事世話人であった坂本健さんには、事前に事細かなご指導とご助言を頂きました。

さらに事務局を始め、様々な側面でご協力をお願いした部会員の方々に感謝いたします。

今回はインドからの留学生デイーパック・クメールさんの見学感想文が提出されましたので、交流されている坂本健氏に和訳をお願いしました。この記事の後に感想文を掲載させていただきますので是非ご覧願います。

 (日産追浜工場ゲストホール 1F ショールームでの集合写真)


2016年日産自動車追浜工場見学 留学生報告(2016.1.15)

横浜国立大学国際社会科学府 
国際PhDプログラム
デイーパック・クメール

三井V-Netのおかげで2016年1月15日、横浜市の郊外にある日産自動車 の工場(訳者注:横須賀市の追浜工場)見学の機会に恵まれた。

当初の目的は好奇心を満たすとであった。日本自動車産業の有名な合理的生 産プロセス(世界で最も進んだとも云える)をこの目で見て理解することに強 い関心があった。技術進歩の形と度合、生産プロセスと工場労働者それぞれに とっての意味に注目することに関心があった。三井V- Net の方からこの話が来 た時に是非参加したいと思った。

15日の朝、日産の工場に到着すると、同社スタッフの温かく且つ熱烈な歓迎 を受けた。工場には自動車ショウルームが有り、同社並びに同工場の歴史と概 観に加え同工場の生産プロセスが興味深く展示されていた。大量の情報により 多くの特色が強調されていた。そのうちの一つの特色はこれまでの一貫した労 働生産性の向上であった。時としてその率は鈍化することはあっても、生産規 模が倍増していたにもかかわらず、労働者の数は工場設立時と比べわずかしか増えていない。

見学者は工場内各作業のステップバイスッテップ解説付きビデオによる生産 プロセスの概況説明を受けた。見学者は二つのグループに分かれ、一つのグループは先に生産ラインに案内された。同社スタッフが自動車生産の異なる各段 階につき組立ラインに沿って関連技術、人的・組織的側面を解説してくれた。

工場内ではモジュール化が行われており、部品の一部は下請け業者により同 じ工場建屋内で生産されている。異なった様態ではあるが、重要な自動化が行 われている。ある工程は作業量の95%が機械化されている。大きな力を要す る作業は速くより効率的な機械的代替方法に置き換えられている。小さな内装 品据付、部品のテストなど人的知覚を必要とする作業は今なお人力に頼っている。しかしながら、これらにおいても(必要に応じ)機械的補助器具を活用し ている。部品は車体のすぐ横までロボット搬送機で運ばれる。その結果、労働 者が車体のそばから過度に離れることによる無駄を最小化することができる。

生産を加速するため全般的に時間と努力が合理化されている。目標生産量は マネジメントにより決定され、工場に通知される。その指示により生産スピー ドと1日当たりの目標数量が調整される。労働者に彼らの作業実績を常時認識 させるよう生産ラインの上部のボードに毎月及び毎日の目標と実績(過不足も 含め)が表示されている。労働者の物理的な環境は非常に清潔で、定時の休憩 時間が与えられている。展示とライン見学行程では労働条件の詳細は明かされ なかった。

工場見学の最終行程は工場の近くの港(訳者注:工場内の輸出及び内航船用 それぞれの基地)へのバス見学であった。ここには日産の重要市場である、北 米、中国及び欧州向けと一部国内向けの多数の車両が待機していた。

素晴らしい構成と大量の情報を伴ったフィールドトリップはこれにて終了し た。実社会に直接触れることを望む留学生と一般見学者のためにこのような 機会を作るに当たっては、主催者及び日産の特別な配慮と努力が必要であった と思う。このような素晴らしい見学会を用意してくれた三井V- Net に感謝する とともに、近い将来このような機会をまた与えて貰えるよう望みます。

以上

(和訳:横国大部会 坂本 健)
(留学生 ディーパック・クメール氏と坂本 健氏)


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