■ 関西支部(大阪)/文化・教育/司馬遼太郎記念館

司馬遼太郎記念財団提供

司馬遼太郎記念館(受付・案内ボランティア)

所在地:大阪府東大阪市小阪3−11−18
開館日:2001年11月1日
設 計:安藤忠雄
敷 地:司馬遼太郎の自宅と隣接地で構成。
    計約2300平方メートル。
設立の主旨と目的:
 司馬遼太郎記念館は「見る」というより「感じる」「考える」記念館です。約2万冊の蔵書が広がる地下の大書架、樹木や草花であふれる雑木林風の庭、数々の作品を生んだ書斎。
これら三つの空間で来館者に司馬遼太郎の精神を感じていただくものです。



文化という力

司馬遼太郎記念館館長 上村洋行

新緑の季節になると、記念館の庭が広くなる。  

お隣の朝日新聞東大阪支局の移転にともない、跡地を購入した。三百余平方メートルの敷地が広がり、自宅、庭、駐車場と一体化することになる。  

庭は小さいながら記念館を構成する大切な要件だ。司馬遼太郎は雑木林が好きで、夏には生い茂る雑草も抜かず、秋から冬にかけては落ち葉も積もるままにまかせて自然のたたずまいを楽しんでいた。  

庭の緑の種類は多く、樹木ではクス、シイ、クヌギ、カエデ、ヤマモモ、エゴノキなど、花木では、バラ、ボケ、ツバキ、ヤマブキ、アシビ、クチナシなどがある。草花では、豪華な花よりも野に咲く花を好み、ツユクサ、タンポポ、ナノハナ、ツワブキ、カタクリなどが季節に合わせて可憐な花をつける。  

来館された方々は、この庭を通る小径にしたがい数々の作品が誕生した書斎の前をへて安藤忠雄さんが設計した建物に向かう。ここには司馬遼太郎の蔵書の一部、約二万冊の資料本を収納する大書架がある。  

新しい庭は書斎の前あたりで、今ある樹木や草花と同じ種類のものを植え違和感のないようにしたい。そのうえで中央部は芝生とベンチを置き、静寂のなかで休憩できる空間を提供しようと思った。  

もともと、記念館は見るというより感じることに重きを置いている。司馬遼太郎の生活の場であった庭、作品を生んだ創造の空間ともいえる書斎、そして、蔵書の大書架、この三つの空間で、来館者がご自由に何かを感じ取られて、しばらく、何かを考える時間をもってもらえないか、という想い描いている。  

そういう時間を持っていただく場は多く、広くあった方がいい。庭を拡大しようとしたのはそのためである。かつて関東からこられた年配の女性が「武蔵野の面影があって落ち着きます」と言われた。そのことを大切にしたい。  

私には文化は共有すべきもの、という考えがあって、多くの人々にこの記念館の存在を知っていただき、記念館でお感じになったり考えたりされたことを、心の片隅においていただければ、ゆるやかな文化の輪が広がっていくように思っている。 うれしいことに、記念館には多くのボランティアの皆さんが活動して支えてくださっている。

写真提供・司馬遼太郎記念財団

寒さや暑さの中でも正門に立って来館者を迎え、展示スペースでの監視やもぎり、庭木の手入れにも加わってくださる。
  昨今、滅入ることの多い世の中にあって、こういった心の輪が、記念館を軸に明るい道筋をつくってくれるのではないか、文化という力を信じたい。

 



 

「司馬遼太郎記念館への誘い」に参加して

会員 長岡 和子(三井住友海上OG)

三井V-Net関西サロン特別企画に初めて参加させていただきました。

左が筆者

4月25日、爽やかなお天気のもと総勢19名の参加者の皆さんと、河内小阪駅から記念館へ向かう途中の公園入口に「21世紀に生きる君たちへ」の石碑があります。このメッセージで学んだ子供達はどんな大人に成長しているだろうかと考えるうち緑豊かな正門に到着しました。正門から記念館に通じる小径は何とも気持ちの良い小径です。

先ず、上村洋行館長から司馬作品や記念館設立前後のお話を伺いましたが、特にこの記念館は「展示を見るのでは なく、感じて欲しい。感じる記念館と共にコミュニケーションの場でもあると。また、記念館活動は文化の灯を保つために発信。経済は文化と一緒に発展しなければならない」とのお話が強く心に残りました。

館内の地下1階から地上2階まで吹き抜けの大書架には只々圧倒されます。パンフレットでは見たことがありましたが、現物を前にするとやはりすごい迫力です。これでも蔵書の一部2万冊の著書・資料しか展示されておらず、全蔵書は6万冊に及ぶと聞いてもその数は想像すら出来ません。地下1階に降り天を仰ぐと、書籍はまるで森の木のようで何かを語りかけているようでした。

その後ホールで映画を鑑賞したり、館内を巡ったりしながら・・・司馬さんの本、特に歴史小説はこの記念館の大書架にも入りきれない膨大な資料・書籍を読み込まれて生み出されたのだと思うと、今まで読まなかったことが何と勿体ないこととつくづく思い知らされた一日でした。

帰りに、あの気持ちの良い小径で樹木や花木を眺めていると、ボランティアの方が「この花はマンサクです」「あの新芽が出ている木は柏です。古い葉は新芽が出てから落ちるんですよ」と親切に教えて下さったのがいつまでも頭から離れませんでした。

柏の葉は葉っぱが枯れても枝に残って木を守り、春に新芽が生まれるのを待って落ちる・・・まるで司馬さんそのもののようで、司馬さんは21世紀に生きる君たちへのメッセージが確実に子供達に届いたのを見届けて逝かれたのでしょうか・・・。


 

司馬遼太郎記念館ボランティアの会に参加して

山上静雄(三越OB)

三井V-Netの紹介により司馬遼太郎記念館へボランティアに通い始めて一年になります。記念館は東大阪小坂という住宅街にあり司馬さんの住居、書斎、雑木林風の庭園、そして安藤忠雄さん設計によるコンクリート造りの記念館等合せて2300平方メートルの閑静なたたずまいをした一画です。

館内は蔵書の一部約2万冊を収納した書架や先生の作品の初版本が展示されており、それらの背表紙を見るだけで思いをめぐらし楽しみです。その他いろいろの映像による紹介や企画展(直近では「坂の上の雲」「新選組血風録」)が展示され一層魅力を増します。

明るい開放的な喫茶や「書物」」「グッズ」等の販売コーナーもまた自然と足が止まります。従事される方々やボランティアの皆様にもお互いになごやかに啓発されながら会話もはずみます。また年中行事としては先生の作品ゆかりの旅行(日帰りまたは一泊旅行)年末の交流会、街をあげて彩る菜の花忌(2月12日)等四季それぞれ趣きを感じます。

来館者は近隣にとどまらず遠方や外国からも多勢来られ、それらの方々が帰り際に声を掛けられて退館されるのも気持ちの良いものです。  

毎週一回のボランティアの活動ですがこの輪が一層拡がるのを願っています。


司馬遼太郎記念館のボランティア活動

野田 祐介(三井住友銀行OB)

記念館は安藤忠雄氏の設計によるもので東大阪の閑静な住宅地にあり、鳥の囀りと四季折々の花の彩りで一日が明けます。朝のミーティングが終わると全員で玄関、中庭の清掃に掛かり来館者をお迎えする態勢に入ります。更に私自身、笑顔で来館者をお迎え出来るよう、中庭の新鮮な空気を胸一杯吸い込み気を引き締める様にしています。  

記念館は相変わらず多くの方が来館されます。特に土曜日曜は、団体、家族連れ、学生等来館者が多く来られます。また外国の方々もよく来られますが、それぞれのお国柄も窺えて楽しいものです。地下室の展示物やビデオ放送もおよそ半年毎に内容が変りますし、中庭の雑木林のイメージで作られた草木も、季節の移り変わりを楽しませてくれますのでリピーターの方も多く見受けられます。この様に司馬作品に魅了され先生に思いを寄せて来館された人々が2万冊の大書架の空間に佇み、何かを考え感じ取っていただく場所でありたいと館は願っています。

私の記念館に於けるボランティア活動は4年有余に成りました。"千の風になって"の歌詩ではありませんが"私は金曜日、家には居ません、司馬遼太郎記念館に行っています"と友人知人に伝え金曜日は行事予定を組まないようにお願いしています。家内に言わせますと、私の顔が一番輝いて見えるのは金曜日の朝だそうです。  

昨年来、ボランティア運営委員を仰せつかり、ミーティングで館からの伝達事項や其の日の各人の配置を発表し、ボランティアの基本マナーの遵守、ボランティア各位の人間関係の向上に微力ながら努めています。  

相田みつ氏の詩(本気)が気に入り自分に言い聞かせつつ日々頑張っている昨今です。 "なんでもいいからさ 本気でやってごらん 本気でやれば楽しいから 本気でやれば疲れないから 疲れても疲れても爽やかだから"