本部(東京)国際交流

活動レポート

能狂言鑑賞会参加報告(2023年5月27日)

駒澤大学部会 世話人
白井信雄(三井住友銀行OB)

三井V-Net古典芸能鑑賞プログラムの一環として、5月に国立能楽堂にて開催されました「外国人のための能楽鑑賞教室」に、駒大部会からは王君(台湾義守大学から昨年10月に駒大に交換留学生として来日、一対一交流に参加)および会員2名が参加をさせて頂きました。留学生はもう1名参加予定でしたが急遽(きゅうきょ)欠席、1名のみの参加となりました。

正直、能は初めての外国人には難しいかなと思っておりましたが、王君がとても喜んでくれたようでホッとしました。
事務局のみなさんチケットの手配等ありがとうございました。

後日、王君に鑑賞感想文をお願いしましたところ快諾を頂き、ユニークな視点にエスプリの効いた表現、とても素晴らしい感想文を仕上げてくれました。併せて王君にもお礼申し上げたいと思います。

以上

能楽鑑賞会に参加して

王 聖傑
(台湾、義守大学)

2023年5月27日、国立能楽堂での能楽鑑賞教室に参加して、狂言「二人袴」と能「邯鄲」を見ました。

〇能「邯鄲(がんたん)」

最初の印象は謡う声が仏教のお経を唱えるのと似ていると思った。太鼓と鼓は何か木魚と似たような音を出している。

一番印象に残ったシーンは最後主人公が夢から覚めた部分で、夢から覚め、五十年の繁栄は一瞬で消えた。人生と同じ、亡くなったら、どれだけ積み上げたものも無に帰る。それは完全に仏教の教えや仏教の考え方だ。

台湾の仏教にはこういう伝統的な劇はない。中華の仏教のイメージは極めて素朴なものであり、演劇や音楽など娯楽なものはほぼない。

日本の能楽は、欧米圏でよく宗教と娯楽に繋げて貴族の嗜(たしな)みになっているのと似ていると感じた。

まとめにすると、日本の能楽は仏教と直接の繋がりはないけれど、能楽の内容は中国(主に仏教)の影響を大きく受けている。仏教の世界観と近い。でも形式上はもっと欧米の貴族文化と近いのではないかと考えた。

〇狂言「二人袴(ふたりばかま)」

これは外国人でも分かりやすい。役者の動きはかなり派手な感じがする。それは一番後ろの席の人でも、ハッキリ見えて、楽しめる。

今の漫才もその影響を受けているのが見える。しかし、やはり狂言ほどに派手な動きをしていない。狂言は現代テレビで流す、同じタイプのお笑い番組や映画と違う。今は昔よりもっと内面的な表現が細かくしている。重心を狂言の派手な動きから、表情と喋(しゃべ)り方や言葉の内容にちょっと移したように思う。

まとめ

個人的には両方面白いと思った。しかし、客観的に能と狂言を比べると、狂言の方が現代人に合う。実際に劇場の人の反応を見たら、狂言の時は本当に思わず笑った人が多かったが、能の時は始まって二十分くらいで多くの人が寝てしまった。ストーリーの中の主人公が夢の世界に行った時点で、多くの見ている人が一緒に眠りについていた。

以上

右側が筆者の王 聖傑氏

右側が筆者の王 聖傑氏


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