本部(東京)国際交流

活動レポート

素敵で楽しい留学生との交流

東大柏部会 淺香冠菜

留学生の陳くんとお会いしたのは、東大柏キャンパスのKIO(現 グローバル教育センター柏支部 GlobE Kashiwa)で2023年の秋でした。スタッフさんと陳くんの三人でお会いしました。若い青年だったので、心の中で「男性の会員でなくていいのかな?」と思いました。彼の印象は、真面目そうで優しげで素敵な感じの青年でした。N2をお持ちだという彼の日本語はたどたどしくて、私は英語をほとんど話せないので大丈夫かしらと不安になりました。

彼が頑張って話す日本語とKIOさんの通訳でなんとか、でも、なごやかに時間が過ぎました。KIOさんが陳くんに「最後になにか質問はありますか」と聞くと、彼は「NARUTOの『だってばよ!』はどう意味ですか」と質問しました。NARUTOは、日本を代表するアニメのひとつで、実は私が大好きなアニメでした。意外な質問にその時は、上手く説明できませんでしたが、自宅に戻り、アニメを第一話から数話見直し、私なりの解説をして、さらに、「普通の会話で使う言葉ではないので、日本人との会話で『だってばよ』は、使わないでくださいね」とLINEでお伝えしました。この交流が楽しくなりそうな予感がしました。

このエピソードからお分かりいただけますか?

陳くんは、とても熱心で積極的で向上心のある留学生です。彼が日本語学習に取り組む姿勢は現在もそのままです。私は、交流はできる限り留学生のご希望に応えたいと思っています。この交流は、陳くんのご希望で週2回。(交流が週1や月1の方もいらっしゃるようです)。陳くんは大学の授業関係か体調不良でなければお休みすることはありません。それほど熱心な彼ですから、N1の試験にも合格なさいました。日本での就職も第一志望の会社から見事内定をいただきました。実は、就職の面接の練習は、私にもなかなかハードでしたが、陳くんは真剣に取り組まれました。素晴らしいです。

陳くんの日本語の実力は、私からみてもそれはすごいレベルになりました。会話力も読解力も特に会話のスピードは、日本人同士と話すのと変わらないほどです。彼は、ご自分でテキストを探して、それを2冊購入し、うち1冊を私に渡してくれます。そのテキストで日本語の学習をします。私に渡してくださるテキストは全部で6冊になりました。内容は、会話がメインです。陳くんの質問に私が上手く説明できない時は、後で調べてLINEやメール、または次の交流の時にお伝えしています。
私がこの交流で利用している辞書は、中学入試をする小学生が使う、小学国語辞典と広辞苑です。

私はLINEやメールで文章を送る時は、普段使いのわかりやすい言葉と、ていねいバージョンそして、たまに、男性の言い方を送る時があります。それは、陳くんがていねい語、謙譲語、尊敬語を学習したいというご希望があるからです。彼は、それをノートに書き写していらっしゃるそうです。彼の日本語上達の理由は、ここにあります。熱心さです。
彼は、これからもご自分の努力と勤勉さで道を切り開いていく青年だと思います。
交流を始めた頃は、直接お会いして練習をしましたが、今は週2回とも夜にZoomです。
でも、時には、直接お会いしてランチやお茶をします。ランチは、もっぱら、陳くんも私も好きな牛タン定食で彼はとろろ付きです。彼が美味しそうに食べてくださるので楽しいです。食事をしながら最近の事を話題に交流します。バレンタインにはチョコのプレゼントも。穏やかな陳くんなので、いつも喜んでくださいます。また、陳くんが旅行や学会にお出かけした時は、私にと、おみやげをわざわざ選んで買って来てくださいます。とてもうれしいです。

私の願いは、世界に様々な国がある中で日本を選んでくださった留学生のみなさんに、日本で楽しい日々をおくっていただきたいという事です。ご自分の国にお帰りになっても、日本での事が楽しかったと記憶していただきたいです。留学生のみなさんの健康と幸せを願っております。


かなさんと交流の感想

東京大学新領域創成科学研究科 研究生 陳曄

私と かなさん (淺香さんのご希望で「かなさん」とお呼びしています。)と会ったのは2023年の秋です。2023年、それは、私が日本で就職したいと決めた年でした。でも、一番心配なのは、自分の日本語能力です。私は英語で受験をして東京大学に入学しました。自分の指導教授はイギリス出身の方で、日常会話も全部英語なので日本語を練習する機会が少ないです。日本語を勉強するモチベーションもあまり強くありませんでした。この後、ある事がきっかけで、私は日本で就職することに決めました。今の課題は、日本語の会話力をどうやって伸ばすかということになりました。友人の紹介で、東京大学に1対1の会話交流プログラムがあることを知り、申し込みました。教務の先生もとても優しくて、「ボランティアの方が見つかったら連絡します」とメールで返事をくださいました。

その後、教務の先生からメールをいただき、学外のボランティアの方に時間が取れそうな方がいますと紹介され、その方との顔合わせに招待されました。
とても嬉しかった反面、すごく緊張しました。というのも、N2の資格は持っていましたが、日本人と日本語で話した経験がほとんどなかったからです。外国人向けの日本語能力試験は、日本語を読む力と聞く力しか測りません。また、中国語にも漢字が使われているので、勉強したことのない単語でも意味を推測できることがあります。そのため、たとえN1という最高レベルを取得しても、日本語を全く話せないという問題が生じることがあります。初めてボランティアの方と会話するとき、自分の日本語の会話力が高くないせいで、「この人とは話せない」と思われて、練習を断られてしまうのではないかと、とても不安でした。そんな緊張した気持ちのまま、初めてかなさんと会う教室に入りました。

驚いたことに、かなさんはとても話し好きで、優しくて、エネルギッシュな方でした。私が流暢に話せないからといって諦めることはなく、むしろ分かりやすい日本語で一生懸命コミュニケーションを取ってくださいました。また、かなさんはとても忍耐強く、私が一つ一つ言葉を探しながら話すのを最後まで聞いてくださり、さらに積極的に話題を広げてくださいました。かなさんの影響を受けて、私もだんだんリラックスできるようになり、日本語を話すことに対する緊張感がなくなって、むしろ前向きな気持ちになりました。「努力すれば自分もきっと上手に話せるようになる」と思えるようになったのです。こうした変化はすべて、かなさんのおかげだと思っています。初めての顔合わせが終わった後、私は前から気になっていた質問をしてみました。それは、アニメ『NARUTO -ナルト-』の主人公、うずまきナルトがよく言う『だってばよ』って一体どういう意味なんですか、という質問でした。かなさんは一瞬驚いた顔をしてから笑い出して、「実は私もナルトのファンなんですよ」と言ってくれました。そのとき、本当に嬉しかったです。

その後、私たちは週に2回、火曜日と金曜日に練習することを約束しました。最初のうちは、日本語で人と話すことに慣れておらず、とても戸惑っていました。しかし、かなさんは毎回、私のたどたどしい日本語を最後まで根気よく聞いてくださり、私が言った文の正しい発音や使い方を丁寧に教えてくださいました。そのおかげで、多くのことを学ぶことができました。最初の頃は、テキストに載っている会話文を朗読するだけでしたが、かなさんはそんな単調な練習を決して退屈だとは思わず、一言一言、正確な発音に直してくれました。そして、ある日ふと気づいたのです。自分の日本語の会話力が少しずつ上達していることに。2025年になる頃には、簡単な会話や短い文章を書くことができるようになっていました。かなさんとの練習内容もどんどん豊かになり、私は日本での旅行の経験を紹介したり、かなさんからご自身の体験を聞かせてもらったりしました。その中で、私は日本語の力を高めただけでなく、かなさんから「真面目さ」と「忍耐強さ」という大切な姿勢を学びました。

かなさんは、私の就職活動にも協力してくださいました。私は、事前に面接で出されそうな質問と回答を用意しました。それを、かなさんがチェックしてくださり、練習もずっと一緒にしてくださいました。

そのおかげで、最終的に日本の会社から内定をいただくことができました。これはすべて、かなさんのお力添えのおかげだと思っています! 本当に心から感謝しています!

これまでのかなさんとの時間を振り返ると、私は真面目で優しい日本語の先生を得ただけでなく、誠実で温かい日本の友人を得ることができたと思います。かなさんからは日本語力の向上だけでなく、日本人の親切さや温かさ、そして何事にも真剣に向き合う姿勢を学びました。すべての経験が私にとって大きな財産であり、今も私の心の支えになっています!

一対一交流風景

一対一交流風景


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